今年の流行語は「注視する」に決定しそうである。
 海上保安庁の測量船に対する干渉や、東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉の延期など、中国が対日強硬姿勢を強めていることについて、日本政府は「日中は当面ぎくしゃくするだろうが、根本的な両国関係を壊してはいけない」として、今後の中国の出方を注視しつつ、冷静な対応を呼び掛けていく方針だそうだ。
 口蹄疫も注視。為替の動向も注視。景気動向も注視。中国も注視。この政府は、解決に向けて自ら行動を起こそうとはせず、自信のない問題にぶち当たると必ず「注視する」という言葉を用いる。何のために国を預かっているのかも理解しておらず、素人の自分からみてもとても幼い政府に見えてならない。
 「大人の対応」も良いが、時には問題から逃げない姿勢が重要となろう。相手が対決を選ぶならば、しっかりとその動きについていく必要がある。対決には対決で、力には力。「目には目を」という諺は生きていく上で必要があるから存在するのではないのか。毅然とした対応が相手を抑止することに繋がるということをそろそろ本気で考える必要があるのではないだろうか。対立を恐れる人間ほど、くだらない対立に巻き込まれやすくなるものだ。
 どのような国家であろうが(民主主義だろうが、共産主義だろうが)、国のトップに立った政治家の一言で、何千万何百万人もの命運が左右される。民主党が政権を取って1年、どれだけ一人一人が真剣に政治を考えなければならないか、又、どれだけ恐ろしい環境に立たされているのか再認識するきっかけになった。