全国各地で高齢者の所在不明が相次いで発覚しているよう。昨日の段階において、全国の所在不明高齢者は18都道府県で71人。「徘徊したまま行方不明」、「独居生活のまま連絡を絶つ」、「一家で行方不明」といった一定のパターンがあるとのこと。
 各社で報道される内容を此処まで眺めてきて、市役所をはじめとする行政は、一体何をしてきたのかとも思う部分。反面、これが行政の限界かとも思う部分。それぞれの思いが自身の中に混在する。虐待に関することでもそうであるが、いくら行政と言えども家族の承諾なしに無理やり家に上がりこんでの調査は出来ない。強行的な行為を執行するだけの権限が役所にも福祉の専門家にもない以上、万一、間違っていた場合のリスクが大き過ぎる。また安否確認のためだけに人員も予算も多くは割けないからである。
 行政の失態による年金の不正な流失ともとれる事件であるだけに、「メディアの煽動⇒世間全体で叩く」という意図が働くのは理解できることだが、現場の行政職員をいくら非難しても解決にはならないだろう。現場の職員なり福祉の専門家なりに、立ち入り調査に関する有る程度の権限を持たせない限り良い方向に向かうことはないだろう。叩くばかりではなく、このような権限を持たせようというアクションには向かわないものかと思ってしまう。行政を庇う訳ではないが、身元確認の出来ない行旅死亡人(扱い)が年間日本にどれだけいるかを併せて報道しない報道のやり方に疑問を持つ。
 家族や本人と接触を図るということは、皆が思う程簡単なものではない。個人情報や人権や何だと、小難しい社会を形成していったメディアを筆頭とする我々現代の日本人にも問題があったのではないのか。そう思わせる寂しい事件である。