昨日夕、偶々観ていた民放の某番組にて、実際に起こった児童虐待ケースについて、実際の映像を交え、ほんの一部だと思われるものが取り上げられていた。我々が想像する以上に酷い環境に身を置き、直ぐにでも介入しないと命を落とす危険性が伺い知れる内容であった。
 にも関わらず・・・。
 児童相談所が対応する児童虐待件数も年々増加傾向にあり、死亡に繋がったケースも2007年〜2008年については73件あるという。2008年4月施行の改正児童虐待防止法では、家庭裁判所の許可を得れば、児童相談所による家庭への「強制立ち入り」もできるようになったらしいが、実際に「強制立ち入り」を行ったのは、僅か2件のみと効果の程は全くと言ってよい位無いようである。
 実際問題として、児童相談所による強制的な立ち入り執行は現場判断としては難しいと思われる。人権や権利に対する意識がこれだけ先行し拡張した社会では、できる範囲は自ずと限られてくるだろう。日本の社会がいつからこうなったのか、自分には分からないが、善意に基づくミスを認めない傾向が強すぎるような気がする。強制的な権限で以て立ち入りを執行しても、間違っていたとしたら、人権派の方々やメディアに総叩きにあうリスクがある。
 どんなに制度やマニュアルが整ったとしても、公的機関やその立場にある関係者に対し、一切の失敗も一切の言い訳も許さないという風潮が変わらないことにはこのような社会問題は解決しないだろう。メディアも児童虐待を深刻な社会問題として取り上げたのなら、関係機関の行動を非難するばかりではなく、「疑いがあれば、突入する権利がある」ということを率先して推進する位のサポートをしていくべきだろう。