昨日の新聞にて・・・。
 教育現場において「ふるさとの先人に学ぶ教育の推進事業」として、郷土の偉人について学ぶ取り組みが各地小中学校で行われるなか、事業を主導する県教育委員会が幕末志士や海軍大将等をその一例として取り上げた事に対し、教職員組合などでつくる団体から「価値観の押しつけ」などとクレームがついたという記事を見かけた。
 なんでも「幕府要人の暗殺計画を立てた人を道徳教育の対象とするのは間違っている。」、「軍人は子供たちの生きる目標になるのか。」等々、如何にもと思われるべき呆れた理由がクレームの根底にあるらしい。歴史研究は実証的・客観的・論理的・科学的・学問的に行われるものであって、特定のイデオロギーに沿って行われるものではないだろう。
 もし仮にこれらの理屈がまかり通るとするなら、武士が国の礎を築こうと立ち上がった鎌倉時代西南戦争終結、そして立憲体制が確立される明治22年頃までの偉人達を誰も学ぶことが出来なくなるのではないか。ここでクレームや批判の展開している一部教員団体は、源頼朝織田信長等を何と呼ぶのか。西郷隆盛のような軍人であり政治家でもある人物は真っ先に否定するのか。戦勝国にとって都合の良いよう、一方的に裁かれた東京裁判における戦犯達(戦犯とされた方々)は全て悪いと捉えるのか。NHK大河ドラマ等は以ての外なのか。
 行き過ぎたリベラリズムや植付けられた自虐史観は、ときにこのような問題を生じさせる。日本には思想の自由というものが憲法上において保障されている為、一部教員団体の思想をどう捉えるかも受け手側の自由であろう。しかし、敢えて個人の意見を言わせて貰えば、教育という特殊な現場において、個人や特定団体の思想で以て、これは○○だから学ばせないとする思想こそナンセンスなのではないかと思う。