衆院選挙後、約2ヶ月が経過しようという時期になって、ようやく臨時国会が開催された。鳩山首相就任後初の所信表明演説が行われたようであるが、オンタイムで物事が動き出している(沢山の問題が噴出している)中での所信表明演説であった為、具体性に欠け、且つ、悠長な演説だという印象を持ってしまったのは否めない。
 新聞掲載の所信表明演説全文言の中に、鳩山首相の掲げる友愛思想の原点が挙げられているのを発見した。友愛政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が政治に尊重されなければならないという思いがあるらしい。母子加算の復活等についても、どうやらこれらの思いに基づく行為と読める。
 福祉に従属するものとして、以下で述べる見解は良くないのかもしれないが、友愛政治は本当の意味で弱者救済にはならないと考えている。弱者救済というのは、社会的弱者の立場にある人が、それ以外の人達と対等の立場で社会生活・社会活動に参加できるように手助けすることであって、社会的弱者の生活援助を直接的に行うという事では無いと思う。その辺りをこの政権は履き違えてはいないか。
 本当に必要なものは、雇用の拡充、そして雇用環境を調整していくソーシャルワーカー的な人員の育成配置等であって、生活保護の拡大や手当等のばら撒きではないと思う。働かなくても救われる社会の創出ではなく、社会的弱者であっても働ける環境がある社会の創出を行ってもらいたい。民主が思い描く社会において、一番の弱者となるのは、男性のサラリーマンとなってしまうのは明らかにおかしいだろう。