昨晩、アメリカ合衆国オバマ大統領が、アメリカ上下両院合同会議で演説し、「国民皆保険」の実現を目指す医療保険制度改革への支持を訴えているというニュースを見た。「国民皆保険」へ向け、医療保険改革を行うべく決意表明を行ったことで、アメリカ国家全体が大きく揺れ動いているとのことである。
 あまり知られていないかもしれないが、アメリカにも連邦政府による高齢者と身体障害者を対象とした公的医療保険制度「メディケア」と、州政府によって運営されている低所得者層を対象とした公的医療扶助制度「メディケイド」がある。しかし、アメリカには、国民誰にも適用される普遍的な公的医療保険が存在しておらず、民間の医療保険会社がその辺りを補填する形態になっている。消費者(患者)は、医療保険を商品として購入する意識が高い為、(保険料が高く入れない方もおられるようだが、)大半は自分自身の意思で医療保険に加入しないという。アメリカの医療制度に関する問題の多くはここ集約されていると思われる。
 先進国で唯一、国民の多数が保険に加入していない状況(無保険者/4700万人)を解消しようとする試みは確かに理解できるし評価もできる事だが、アメリカにおいて、「国民皆保険」を実施しようとした場合、一体どれ程の財源が必要になるのだろう。増税という形で賄うことになると思うが、己の権利に対する意識が強い国民に相互扶助的な考えが馴染むかどうか分からない。結局、自国民に受け入れられず、その財源の肩代わりを日本に求めるということだけは止めてもらいたい。
 アメリカが医療保険改革を行い、「国民皆保険」型へと舵を切ろうとしているのに対し、日本は医療保険の崩壊を間近に、アメリカ型の健康保険にしてしまおうと画策している。何が良くて何が悪いのか、分からなくなってきた。