来春卒業予定の学生に対し、「就職活動を漢字1文字で表すと」というアンケートを行ったところ、「苦」と回答した学生が1番多かったとの記事を見かけた。これまで続いてきた採用拡大の傾向が、昨年の経済不況により縮小していることが原因であるとのこと。
 確かに7月末の完全失業率5.4%、有効求人倍率0.43という数字を見れば(昨年の経済不況から現在に至る)就職活動が如何に厳しいかが容易に想像出来る。当然「苦」が1番になるのも理解出来る。しかし、果たしてそれだけが理由かという思いも何処かにある。今の学生が、どのような環境で過ごしてきた世代かは分からない。もし平等やゆとりという教育に影響を受けた世代なら、就職活動によって初めて市場原理に基づいた競争に曝されることになる学生もいるわけである。個人的見解だが、単に採用数が減ったというだけで就活を「苦」だと思う人が増えたわけではないのではないかと考えている。
 それは別として、就職活動が「苦」と考える学生は、目先や考え方を変えて行くことも時には必要であるだろう。全てとは言えないが、多くの企業は、過去の終身雇用制度が既に崩壊している状況にある。裏を返せば、就職活動に失敗したとしても、いずれチャンスが訪れる可能性もあるということである。また、ブランドに拘らなければ、人材をほしがっている優良な中小企業に進む道もある訳だ。思う企業に就職出来なかったことで得る新しい知識や経験もあるという事を理解してほしい。
 今から十数年前、「氷河期」と言われる時代に就職活動を経験したことを思い出す。幸い自分は、力試し程度の感覚で受けた一社目で、訳も分からぬ内に内定を貰い、人が思うより「苦」を感じることはなかったと自覚している。ただ、この結果で気が抜けて(満足して)しまったことを「悔」いている。本当にやりたかった仕事へのチャレンジを簡単に放棄してしまった。それが良かったのか、悪かったのか、良く分からないが、いまはここでお世話になっている。