国民の感覚を刑事裁判に反映させることを目的として導入された裁判員制度が、昨日から本格的に始まったようである。裁判所に出向くべき候補者の中から選ばれた裁判員6人が、裁判官と共に初めて刑事裁判の審理に臨んだとのこと。
 裁判官と云えども世の中に起こり得る、あらゆる物事に精通しているわけではない為、平均的な評価を下していく上で、国民の中から選ばれた裁判員の視点は重要なものになるのだろう。一般市民の感覚を司法に盛り込もうという発想そのものは個人的に良いと思う。
 ただ、やはりいきなり刑事事件を担当することになるのは如何なものかと思う部分がある。生々しい現場の写真や証拠、証言等、市民生活とはおおよそかけ離れた非日常的な場に突然放り込まれるという精神的負担は想像以上のものだろう。忘れかけている国民主権を実感できる数少ない機会というポジティブな発想も出来るようだが、何でもかんでもと言う訳にはいかないだろう。やはり刑事事件については、司法のプロにお任せするのが、ベストなのではないだろうか・・・。
 しかし、それにしてもメディアは興味本位に騒ぎすぎている感が拭えない。事件の行方そのものよりも裁判員制度にウエイトを置いた報道ばかりである。制度導入後、初の裁判審理かもしれないが、被害者がいて、被害者家族がいて、被告がいて、現在も進行形の事件であることを全く伝えようとしない。もしかすると裁判員の的確な判断に水を差すことにもなりかねない。
 この制度が定着したら、一々こんな騒ぎにはならないのだろうが・・・。