障害者団体向け割引郵便制度を悪用した郵便法違反事件を受け、郵便事業会社が必要以上に審査を厳格化しているとしているとの記事を見かけた。本日、1500近く存在する障害者団体でつくる「全国障害者団体定期刊行物協会連合会」が、割引郵便制度の存続等を求め、要望書を日本郵便総務省及び厚生労働省に提出するらしい。
 事件後より心配していたような制度の厳格化が既に現場レベルで起きている事に何とも表現し難い感情が湧いてくる。この割引郵便制度の悪用もそうだが、このところ「生活保護の不正受給」、「障害者手帳の不正取得」と国の制度を熟知した者が、不正を働くという許されない行為が続いているような気がしてならない。
 制度を理解し、制度の在り方等について考える方向にベクトルを向けていくべき専門家が、間違った方向(法や制度の抜け道)にベクトルを向けてどうするというのか。社会福祉リテラシーの悪用とでも云うべき事件の存在は、やはり容認できるものではない。廻り回って福祉制度を本当に必要とする方々の生活を脅かす事態に発展したり、偏見に繋がったりすることも無いとは言えない社会である。福祉制度そのものが悪いのではなく、モラルがなくし制度を悪用した人間が一番悪いにも関わらずである。
 もしかすると、自分や自分の家族が福祉制度を将来において必要とするかもしれない。そうなった時の事を想像すると、福祉制度を媒介しなければ、自己の生活を構成していくことが出来ない自分及び家族がいる。前述したような福祉制度の悪用事件は、そのような方々の社会生活の安定を損ねる要因にしかならない。そのような事を理解していながら、何故にモラルを捨て、リスクを背負ってまで法を犯すのか。福祉までもが、利権を求めるものの道具になるとは、世も末だと考えてしまう。