障害者団体向け割引制度を悪用した不正郵便の事件が、厚生労働省の現職局長の逮捕という大きな事態に発展しているようである。当初は、モラルのない自称偽善団体による低料第三種郵便物制度の不正適用事件だと思っていた。しかし、厚労省の組織的な関与が問われる事態になり、更に厚生労働省に口利きをした民主党国会議員への追求に及ぶ可能性があるという事態になりで、事件の収拾が段々と付け難い状況にきているようだ。一部の報道によれば、障害者自立支援法の成立をめぐる国会対策として、不正を行ったとの推測もある。
 この事件をきっかけに、障害者福祉制度に関する様々な控除・割引・減免・補助等所謂優遇措置がやり玉に挙がったり、行政サイドによる優遇措置の締め付け(厳格化)が行われるかもしれないと考えていた。今の所、世の中にそのような動きはなく、官僚世界の構造や政治家との接点等を問題視し、進むべき方向へ物事が向かっていることに少し安堵している。
 現状において一部報道にあるような政治家の関与があったとしたなら、この事件の一番のポイントは法案を盾に取り不正をねじ込んだ政治家の存在であろう。障害者自立支援法もそんなに評判の良い制度ではないが、障害者福祉を自己の欲求を満たすための道具に利用したことが許せない。この事件に関し、郵便事業に億単位の損失が生じた事は事実。それがそのまま政治家の利権に繋がるとは言えないが、己の利権の為なら、不正であろうが何であろうが構わないとする政治家の実体が明るみにでて、尚且つ、逮捕という形での収拾が図れれば一番良いと思う。決して、局長を逮捕しただけの片手落ちで終わることのないようにしてもらいたい。
 報道にあるような政治家による口利きや不正のねじ込みは、以前から日常的に行われていたことなのではないだろうか。官僚側も、このような汚れた仕事をきっちりこなしてこそ優秀という評価をされるという仕組みがあったのではないだろうか。政治家も官僚もどっちもどっちといった印象を持つ。こんな状態(政官の歪んだ関係)が今後も続くようであるなら、某党の掲げる公務員改革の実行や政治主導による政策の実施等は何年経っても無理だろう。
 それにしても、もし仮に某党議員にまで捜査が及べは、某党はまた「国策捜査」だと声を大に叫ぶのだろうか。