厚生労働省が昨日公表した人口動態統計によると、2008年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)は1.37だったそうだある。2007年を0.03ポイント上回り、3年連続で出生率は増加の傾向にあるとのこと。但し、背景には分母となる出産適齢期の女性の数の減少や、うるう年だったという要因が隠されており、実質的には微減したと考えられるらしい。
 ポイントの増減云々については特に取り立てて言う必要はないだろう。一番の問題は、経済情勢、雇用情勢、社会保障、社会構造等、様々な要素要因が絡んでいる問題だけに、何処をどう改善させれば、よい方向に向かっていくのかという道筋が立て難いことにある。ただ、現存する少子高齢社会は、扶助で成り立つ日本の社会システムを揺るがす問題であると思う。それだけに、一刻も早く何らかの手を打たないといけないということだけは確かな事だと言えよう。
 経済や政治を首都圏に一極集中させ、人の動きがそこに集まるようになっている限り、おそらく、出生率の向上は今後も望めないだろう。以前より検討されている道州制を導入し、人の動きを分散するような事が出来れば、もしかすると出生率の改善に繋がるかもしれない。又、一部の大企業が再び終身雇用を謳い、産後の社会復帰がし易い環境を創る様になるだけでも、効果が上がるかもしれない。
 様々な要素要因が絡んでいる問題だけに、一要素の改善が問題解決に直結するとは言えないが、アプローチの仕方や切り込み方は様々にある。出産・養育をめぐるいまの現状が、全て国に責任ではない事は理解している。しかし、出産・養育に関する事柄は個人の責任(及び負担)といわんばかりに放置してきた期間が長すぎた事は否定できない事実であろう。
 安心して子供が産めるような、子供が育てられるような社会の再構築を真剣に考えてもらいたいものである。しかし、移民の受入で出生率労働人口の低下を補填する等というおかしな考えだけは遠慮したい。