住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は昨日、返済期間が最長50年で、その間の金利を一定にできる超長期固定型住宅ローンの新設を発表したようである。寿命が長く資産性の高い住宅の取得を促すのがこの新設ローンの主な狙いで、長期返済によって月々の負担額を低く抑えることができ、親子2代での返済も可能とのことである。
 毎月の返済額を低く抑えることができるという部分に魅力は感じるが、冷静に考えると、それだけ長く、そして多くの利息を返さなければならないことになる。金利を概ね3%〜4%と考え、仮に2000万円の融資を受けたとすると、利息だけで融資を受けた額の倍以上の返済をしなければならない。
 更に、30年の住宅ローンでさえ、完済する頃迄生きて居られるかどうか心配な状況であるのに、50年の住宅ローンとは、一体どのようなものに感じられるのか。20歳で融資を受けた場合について、生きている間の完済を達成させる事が出来る。しかし、30歳オーバーで融資を受けた場合について、生きている間の完済は、極めて困難な状況なのではないだろうか。まして、年金受給でさえ怪しい状況であるのに、乏しい年金をローンの返済に充てようと思うかどうか疑問である。また、いくら親子間でローンリレーが出来るとしても、50年もの間に老朽化していくことが分かっている住宅に子供が住みたいと思うか疑問である。
 何事も個別が取りだたされる現代社会において、多岐にわたる選択肢の存在は否定できるものではない思う。しかし、実体がつかみきれない社会情勢の中、選択肢を増やすことは双方ともにリスクが高すぎやしないかと思う。すぐ先の状況でさえ、読み切ることが難しいと思われる中、50年先を社会情勢を読み、その上でそのようなものを法整備し、商品として売り出す意味が、本当にあるのかどうか。
日本版サブプライム問題とならなければよいが・・・。