裁判員法が本日施行される。
 法施行により、国民が刑事裁判に参加するようになる。裁判官とともに重大な刑事事件を審理し、そして判決を出す裁判員制度の開始である。司法に対する一般の社会常識の反映と信頼向上が裁判員制度の最大の目的だと言われているようだ。
 この制度に関しては、始まる前から、いろいろとネガティブな報道が先行していた。そのような事もあってか、いま一つ、個人として賛同に至らない部分も多くある。
 最近あった某判決のように、直接的証拠がなく、状況証拠のみで審理を行わなければならない場合、素人である我々は、どう判断していけばいいのか分からない。また、その者が重大な事件を起こした犯罪者であったとしても、その者の「生死」に関わる判断を素人である自分達が理路整然と下せるものなのか。まして、冤罪の可能性が僅かでも残っている場合、間違えて無実の人間に「死刑」という量刑を課す恐れもある。そのような重責を「国民の義務」として素人である我々に強いるのは正直きつい。
 裁判に参加することで得るメリットよりも、裁判に参加することで得るデメリット、そして期待される効果の実現よりも、問題視されている事の現実化の方がはるかに高いことが予想される。アメリカのように陪審員として定着するまで相当の紆余曲折があり、その都度毎に制度を改善の方向に導けるような柔軟性が求められるだろう。
 個人的な意見だが、重大な刑事事件の審理参加よりも、むしろ庶民の感覚が求められる国会審議の場に一般庶民を参加させる制度を創ってもらいたい。