昨日、参院厚生労働委員会において、平成21年度からの新しい要介護認定基準の導入に合わせ、「要介護1」の利用者を1段階軽い「要支援2」に誘導し、介護給付費抑制を図ろうとするような意図が疑われる内部文書の存在が明らかになった。厚生労働省老健局は、局内で議論するための内部資料と認めた上で、要介護度が一律に軽度に判定されるわけではなく、介護給付費の削減を意図したものではないと説明している。しかし、厚労相及び老健局長ともに「初めて見た資料」とのことなので、その真意については担当した官僚以外は分からない。
 なんでも現状「要支援2:要介護1=5:5」の比率を厚生労働省が想定する「要支援2:要介護1=7:3」の比率に近づけることで384億円程度の介護給付費を縮減できると試算していたらしい。
 4月からの新認定基準で要介護度が変わっても利用者の申請があれば最長2年間、元の要介護度に基づき従来のサービスが受けられるとするらしいが、このような事が報道された後となっては・・・。
 仮に、老健局の説明にあるよう介護給付費の縮減を意図したものではなかったとして、局のトップが知らないような内部文書の存在をどう説明するのか。事業者には介護報酬を引き上げると良い顔をしておいて、その一方で、介護度を操作してお金を出さないようにする。確かに介護給付費の適正化ではあるようだが、偽装工作と言っても過言ではないような印象を受ける。もっと悪く別の言い方をすれば詐欺とも言える。
 社会保険庁の年金の問題もある為、益々官僚不信に拍車がかかる。全ての官僚が悪だとは思いたくないが、国民からどういう評価をされてるかという自覚を持って仕事に臨めない環境にあるならば、それはもう悪以外の何物でもない。