昨日の合同学会にて魚津緑ヶ丘病院及び当院の様々な発表を視聴した。
 自分の中において、日頃あまりなじみのない精神科領域の発表はどれも関心の持てる内容であった。看護の領域におけるアプローチをメインとした発表であったが、精神科領域における援助が如何に緻密な計画に基づいたものであるかを伺い知ることが出来たと同時に刺激を受けた。
 話は変わるが、今回の発表で精神科領域の事例に触れ、数年前に問題視されていた事項を突然思い出した。
 日本は欧米諸国と比べ、精神科患者の入院比率が高く、入院も長期に至る。それが医療費の負担に繋がっており、その削減施策として考案されたのが、福祉ホームB型やグループホーム等の「退院支援施設」である。現在の療養病床削減の問題と同様に、既存の入院病床を「退院支援施設」という名の生活訓練施設に変えただけとの解釈もあってか、某人権擁護団体が施設の設置や病床の転換にかなり反対していたようであった。
・病院の敷地内や直ぐそばの施設では、退院した実感をもてない。
・病棟を模様替えしただけの施設では、病院に囲い込みが続くだけ。
・地域に行き場がなければ利用期間を決めても有名無実になるetc
以上の理由からの反対であったような記憶がある。
 発表の中で「福祉ホームB型」の存在が挙げられていたことや、病院敷地内や近辺に支援施設の名目で共同住居を作っている精神科病院が多々あることから、精神科領域も病床数削減の流れを止められなかったようである。
 そこに生活する方々の考えを伺い知ることは出来ないが、国の出す施策に振り回されるのは、いつの世もどの分野も患者側、そして我々医療提供者側である。我々医療提供者側も何ら声を上げず何ら対策を考えず、処遇の全てを厚生労働省まかせできたことも悪いのだろうが・・・。