昨日、事務長のブログにもあったように、アメリカの医療制度に関する映画を見てきた。医療制度の影の部分に焦点を当てた内容だっただけに、「重い」というのが率直な感想だろうか。
 アメリカの医療制度は、メディケアとメディケイドより成り立っている。メディケアは、急性期治療の医療費に対する医療保険で、一部の短期的な在宅医療費やナーシングホームなどの施設費用に対しても使われる医療保険である。メディケイドは、低所得高齢者、低所得障害者、低所得の子供を持つ家庭などに対する医療扶助制度で、急性期・慢性期の両方の医療費に対応する。
 本来は、形を成した医療制度であったと思われる。しかし、ここに保険会社の利益追求や人種特有の個人主義的な思想が絡んでいる。医療費およびその関連費用を第三者が適切に決定し、医療そのものをコントロールしようとする。そこに医療提供者や患者個人の思い等は反映されない。そして、相互扶助的な考えを持たない為、「他人の医療費を自分が負担するのなんて御免だ。」という思想・・・。
 この国では、医療ソーシャルワーカーとして何ができるのだろう。上記のような状況においては、患者のニーズに対応するという専門的な価値に基づく実践なんて到底無理である。支払い能力があるかないかの調査に始まり、管理側の示した基準に沿って退院計画たて、新たな問題の発生や重症化が予想されるケースも見て見ぬふりをし、退院させなければならない。
 社会保障等に関連する職種として映画を鑑賞しただけに、やはり「重い」という一言に集約される内容であった。他の職種の方々はどのように捉えていたのだろう。