社会復帰に向けて。
 現在、脳血管疾患をベースに持つ男性利用者の社会復帰支援を展開している。
 社会復帰を目指すというだけあって、障害自体は軽度で、日常生活に必要とされる動作については特に問題がない。公安委員会による運転適性相談でもAT限定ならば、自動車の運転もOKという判断をもらえるぐらいである。
 しかし、これだけ元気な状態であっても社会復帰を目標とするとそのハードルは高い。手に職を持っていた人だけに僅かに残る後遺障害が、そのハードルを一層高いものにしている。『何をしたい』、『どういう職なら出来そうか』等、当人と話しをしながらアクションは起こしてみるものの、障害者を積極的に雇用している企業の情報等や就職支援に必要なknow-howがなく、ここまで高いハードルを越えられない日々が続くばかりである。
 その状況を打開する為、訪れたハローワークも、交渉の前提に障害者手帳の取得を掲げており、具体的な話もそれからだという。現行の制度や社会のシステムが、障害者の方々にとって如何に都合が悪いものか、改めて理解することが出来た。ノーマライゼーションという理念が如何に言葉だけの社会となっているかを・・・。
 それでも発症からの期間や等級等について、更生相談所の職員の方々と少しずつ話しを進め、ようやく障害者手帳の交付へとこぎ付けた。これでようやく本格的な交渉のテーブルに着く為の材料が揃った。
 この方に残された入院期間は約40日である。此処から先、入院期間の厳守を念頭に置きつつ、どのように関わっていくのか。又、期間内に収まらないことも考えられる為、その場合は、どうするのかを含め再考しなければならない。