スクールソーシャルワーカー
 文部科学省は、平成20年度から公立小中学校で活動するスクールソーシャルワーカーを全都道府県141地域に配置することを決めたらしい。その役割は、学校と関係機関との仲介、虐待や育児放棄・経済的困窮など深刻な問題を抱えた家庭の実態を把握し、個々の状況に応じた対応を図ることを想定している。
 一般の方々には聞き慣れない言葉かもしれないが、実は大学生の頃に教員を目指していた時期もあったことから、福祉の道を選択した後もスクールソーシャルワーカーの必要性や存在意義について真剣に考えることが度々あった。アメリカでは1世紀も前にスクールソーシャルワーカーが誕生しており、現在では一万人以上のスクールソーシャルワーカーが子供達の教育環境向上の為に活動している。それに比べ、日本は一部の地域が先駆的に取り組んでいるだけであり、知名度や認知度は非常に低い。そして、身分(サイドワーク或いはボランティア)や社会的保障については、不明確といった状況である。この状況下では教育や福祉に関わる仕事がしたいという熱意だけ持った一社会福祉士では、仕事を継続させることが困難である。
 そのような意味で、今回の決定は、熱意を持った方々に僅かながも門を開いたということである。そして何より、ソーシャルワークという仕事が世間に認識されつつあることの裏付けとして考えることもできる。それが何となく嬉しい。
 複雑多様化している教育の現場に福祉を持ち込むことで、日本の教育現場がどう変わっていくのか、そしてソーシャルワーカーがどのように力を発揮するのかを今後も見て行きたい気持ちがある。